医療費の内訳はどうなってる?何にお金がかかっているかを知る
病院や診療所にかかったとき、窓口で支払う金額は医療費のほんの一部です。実際にかかった医療費全体がどのような内訳になっているのかを理解すると、医療保険の仕組みや自分が受けた治療の内容がよく分かります。
医療費は大きく分けて、私たちが窓口で払う「自己負担分」と、健康保険が負担する「保険給付分」に分かれています。現役世代なら自己負担は3割、小学生から義務教育就学前の子どもは2割、75歳以上の後期高齢者は所得に応じて1割または3割となっています。つまり、窓口で1,000円払ったとすれば、実際の医療費は3,000円~10,000円程度かかっているということです。
診療種類別に見た医療費の内訳
医療費を診療の種類別に分けると、どこにどれくらいのお金が使われているのかが見えてきます。公益社団法人全日本病院協会のみんなの医療ガイドによれば、国民医療費全体で見ると最も大きな割合を占めるのが「医科診療医療費」で、全体の約7割を占めています。
医科診療医療費の構成
医科診療医療費は、さらに入院にかかる費用と外来(通院)にかかる費用に分かれます。入院医療費は全体の約37%、外来医療費は約34%となっており、両者がほぼ同じ規模です。入院費用には手術や治療だけでなく、入院中の食事代や病室の使用料なども含まれます。
その他の医療費
医科診療以外では、調剤薬局で受け取る薬にかかる「薬局調剤医療費」が全体の約18%を占めており、近年増加傾向にあります。歯科診療医療費は約7%、入院時の食事や生活にかかる費用、訪問看護の費用なども医療費に含まれています。
| 診療種類 | 割合 |
|---|---|
| 医科診療(入院) | 約37% |
| 医科診療(外来) | 約34% |
| 薬局調剤 | 約18% |
| 歯科診療 | 約7% |
| その他(入院時食事・訪問看護など) | 約4% |
このように、薬局調剤が医療費全体の2割近くを占めているため、ジェネリック医薬品を利用することで医療費全体を抑える効果が期待できるのです。
財源から見た医療費の内訳
医療費は誰が負担しているのでしょうか。財源の内訳を知ると、医療保険制度の仕組みがよく理解できます。
保険料で約半分を負担
医療費の財源で最も大きな割合を占めるのが「保険料」で、全体の約49%を占めています。これは、私たちが毎月給料から天引きされたり、自分で納めたりしている健康保険料と、会社が負担している事業主負担分を合わせたものです。事業主負担は約21%、被保険者負担は約28%となっています。
公費負担は約4割
次に大きいのが「公費」で、約39%を占めます。公費とは税金のことで、国が負担する部分(約26%)と地方自治体が負担する部分(約13%)に分かれています。この公費負担があるおかげで、高齢者医療や低所得者への医療費助成などが可能になっています。
患者の自己負担
私たちが病院の窓口で直接支払う自己負担金は、医療費全体の約12%です。一見少ないように感じるかもしれませんが、高額な治療を受けた場合は、この自己負担分だけでも大きな負担になることがあります。そのため、高額療養費制度などの仕組みが用意されています。
明細書で分かる個人の医療費内訳
病院や薬局では、会計時に領収書とともに「明細書」を受け取ります。この明細書には、自分が受けた医療行為や処方された薬の詳細が記載されており、医療費の内訳を知る上で非常に役立つ書類です。
診療報酬点数の仕組み
医療費は「診療報酬点数」という単位で計算されています。1点は10円で、たとえば初診料が288点なら2,880円、再診料が73点なら730円といった具合です。明細書にはこの点数が項目ごとに記載されているので、どの治療にいくらかかったのかが分かります。
明細書の主な項目
明細書には通常、以下のような項目が記載されています。
- 初診料・再診料:医師の診察を受けるための基本料金
- 医学管理料:継続的な治療計画や指導にかかる費用
- 検査料:血液検査、画像検査などの費用
- 画像診断料:レントゲン、CT、MRIなどの撮影費用
- 投薬料:処方された薬の費用
- 注射料:注射や点滴の費用
- 処置料:傷の手当てや処置の費用
- 手術料:手術を受けた場合の費用
これらの項目ごとに点数が記載され、合計点数を10倍した金額が総医療費となります。そして、自己負担割合(通常3割)を掛けた金額が窓口での支払額になります。
医療費の内訳を確認する意味
明細書をきちんと確認することには、いくつかのメリットがあります。まず、自分が受けた治療内容を正確に把握できるため、医師とのコミュニケーションがスムーズになります。どんな検査を受けたのか、どんな薬が処方されたのかが分かれば、次の診察時に的確な質問ができるようになります。
また、医療費控除を受ける際にも明細書は重要です。年間の医療費が10万円を超えた場合、確定申告で医療費控除を受けられますが、その際には領収書や明細書が必要になります。普段から明細書を保管しておく習慣をつけると、確定申告時に慌てずに済みます。
制度区分別の医療費内訳
医療費は、どの制度から給付されるかによっても分類できます。会社員などが加入する健康保険組合や協会けんぽからの給付分が約47%、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度からの給付分が約33%、生活保護などの公費負担医療給付分が約7%、そして患者の自己負担分が約12%となっています。
高齢化が進むにつれて、後期高齢者医療給付分の割合は年々増加しています。このため、医療費全体を抑えるには、健康寿命を延ばして病気を予防することが重要だと言われているのです。
医療費の内訳を理解して賢く利用
医療費の内訳を知ることは、単なる知識の習得にとどまりません。どこにお金がかかっているのかを理解すれば、ジェネリック医薬品の選択や不要な検査を避けるなど、医療費を抑える工夫ができるようになります。また、医療保険制度全体の仕組みを理解することで、高額療養費制度などの支援制度を適切に活用できるようにもなります。
病院や薬局で受け取る明細書は、捨てずにきちんと保管しておきましょう。自分の健康管理にも、家計管理にも、そして医療費控除の申告にも役立つ大切な書類です。