医療費にかかるお金で困らないための日ごろからの備え

医療費の平均はいくら?年齢によって負担が変わる医療費

病気やケガで病院にかかったとき、医療費はいくらくらい必要になるのでしょうか。年齢や健康状態によって負担額は変わりますが、日本全体で見た医療費の平均値を知っておくことは、将来への備えを考える上で役に立ちます。

厚生労働省が公表している国民医療費のデータを見ると、人口1人当たりの医療費は年間約34万円です。ただし実際の負担額は、公的医療保険によって軽減されており、自己負担は年齢や所得に応じて1~3割となっています。年齢が上がるにつれて医療費の負担も増える傾向があり、特に65歳以降は急激に増加していきます。

国民1人当たりの医療費はどれくらいか

令和5年度の厚生労働省の統計によると、1年間にかかる国民1人当たりの医療費は約37万円です。2018年のニッセイ基礎研究所のレポートでは約33万円とされているので、年々医療費が高くなっているのが分かります。

また、これは保険診療の対象となる治療費の総額であり、差額ベッド代や先進医療などの保険適用外の費用は含まれていません。

この金額には、患者が窓口で支払う自己負担分だけでなく、健康保険が給付する部分も含まれています。実際に個人が支払う額はこれより少なく、70歳未満の一般的な方であれば医療費の3割負担となります。

生涯でかかる医療費の総額

生涯を通じて必要となる医療費の総額は、平均で約2,700万円と推計されています。男性は約2,580万円、女性は約2,820万円となっており、女性の方がやや多い傾向にあります。

この生涯医療費のうち、約6割が65歳以降にかかります。さらに75歳以降だけで全体の約4割を占めるため、高齢期になるほど医療費の負担が大きくなることがわかります。ただし実際の自己負担額は、所得に応じて1~3割程度です。

年代別に見る医療費の特徴

医療費のかかり方は年齢層によって大きく異なります。若いうちは比較的少額で済みますが、年齢が上がるにつれて通院や治療の機会が増え、医療費も増加していきます。

20歳未満の医療費

0~4歳の生後5年間は、病気やケガで医療機関にかかることが多く、100万円を超える医療費がかかります。その後は年齢とともに医療費が減少し、15~19歳は生涯で最も医療費が少ない時期となります。

この時期は男性の方が医療費が多くかかる傾向があります。成長期特有の事故やケガが影響していると考えられます。

20~49歳の医療費

1年間の医療費は20万円未満で、比較的少ない時期が続きます。ただし年齢とともに徐々に増えていく傾向があります。

この年代では女性の方が医療費が多くなります。妊娠・出産や女性特有の病気により、医療サービスを利用する機会が増えるためです。45~49歳になると、医療費は男女ほぼ同額の年間約20万円となります。

50~64歳の医療費

生活習慣病を発症しやすくなる年代です。また女性は更年期障害が生じることもあり、医療サービスの利用が増加します。1年間の医療費は20万円を超え、年齢とともに増加していきます。

この時期以降は、男性の方が医療費が高くなる傾向が見られます。

65歳以降の医療費

さまざまな病気にかかることで、医療サービスの利用が本格化します。年齢が進むとともに医療費が急増し、女性は80~84歳、男性は75~79歳で増加の勢いがピークを迎えます。

65~69歳と75~79歳を比べると、わずか10歳の違いで医療費が約1.6倍に膨らみます。同じ高齢者でも、年齢層によって医療費のかかり方は大きく異なることがわかります。

年齢層 年間医療費の特徴 主な理由
0~4歳 100万円超 病気やケガが多い
15~19歳 最も少ない 健康な時期
20~49歳 20万円未満 比較的健康
50~64歳 20万円超 生活習慣病の発症
65歳以上 急増 複数の病気

入院と通院で異なる医療費の傾向

医療費を入院と入院外(通院など)に分けて見ると、年齢による違いがより明確になります。それぞれの医療費には異なる傾向があり、どちらに備えるべきかを考える参考になります。

入院医療費は年齢とともに増加

国民1人当たりの入院医療費は年間約13万円です。年齢ごとに見ると、50~54歳までは年間10万円以下で推移しますが、その後は年齢とともに増加していきます。

65歳以降になると増加のペースが高まり、85歳以上で最も多額となります。高齢になるほど入院を必要とする病気にかかる機会が増えるためです。

入院外医療費は80代前半がピーク

入院外医療費には、外来診療費や歯科診療費、薬局での薬代などが含まれます。国民1人当たりの入院外医療費は年間約20万円です。

0~4歳には年間10万円を超えていますが、10代には減少します。その後、20代から40代にかけて徐々に増加し、50代以降は増加のペースが上がります。ただし入院医療費と異なり、80~84歳でピークを迎えた後は横ばいとなります。85歳以降は通院が困難になり、入院中心の医療に移行するためと考えられます。

実際の自己負担額はいくらか

これまで見てきた医療費は総額であり、実際に個人が支払う金額ではありません。日本では公的医療保険制度により、自己負担額が軽減される仕組みがあります。

年齢と所得による自己負担割合

医療費の自己負担割合は、年齢や所得によって異なります。6歳から70歳未満は3割負担、70歳以上は原則2割負担(一定以上の所得がある場合は3割)、75歳以上は1割負担(一定以上の所得がある場合は2割または3割)となっています。

例えば、年間34万円の医療費がかかった場合、70歳未満の方であれば自己負担額は約10万円です。ただし高額療養費制度を利用すれば、月々の自己負担額に上限が設けられるため、さらに負担を軽減できます。

高額療養費制度の上限額

1か月の医療費が一定額を超えた場合、超えた分が払い戻される仕組みがあります。70歳未満で一般的な所得の方であれば、月の自己負担上限額は約8万円です。

例えば手術や入院で1か月に100万円の医療費がかかった場合でも、実際の自己負担額は10万円以下に抑えられます。事前に限度額適用認定証を取得しておけば、病院の窓口での支払いそのものを上限額までとすることができます。

医療費の備えとして知っておきたいこと

平均的な医療費を知ることで、将来に向けてどの程度の準備が必要かの目安がわかります。年齢が上がるにつれて医療費は増加しますが、公的な制度を活用すれば負担を軽減できます。

保険適用外の費用にも注意

国民医療費の統計には、保険適用外の費用は含まれていません。差額ベッド代や入院時の食事代、先進医療の技術料などは全額自己負担となります。入院した場合、これらの費用が数万円から数十万円かかることもあるため、注意が必要です。

生命保険文化センターの調査によると、入院時の自己負担費用は平均で約20万円というデータがあります。これには差額ベッド代や食事代、家族の交通費なども含まれています。

健康寿命を延ばすことの重要性

医療費の増加を抑えるには、若いうちから健康に気を配ることが大切です。禁煙、適切な食生活、定期的な運動、十分な睡眠といった生活習慣の改善により、病気の予防につながります。

また定期的な健康診断を受けることで、病気の早期発見・早期治療が可能になります。重症化する前に対処できれば、医療費の負担も抑えられます。

医療費の平均を知って備えを考える

医療費は年齢とともに増加し、特に65歳以降は急激に高くなります。生涯医療費の総額は平均で約2,700万円ですが、公的医療保険により実際の自己負担額は1~3割程度に抑えられます。

入院医療費は高齢になるほど増え続けますが、通院の医療費は80代前半がピークです。高額療養費制度を利用すれば、月々の自己負担額に上限が設けられるため、突然の高額医療費にも対応できます。

ただし差額ベッド代や先進医療などの保険適用外の費用には注意が必要です。平均的な医療費を知った上で、公的制度を理解し、必要に応じて貯蓄や民間保険で備えておくことが大切です。

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